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はじめに
コロナ融資の据置期間が終了、返済開始により支払が負担になり、毎月不安にお思いの経営者も多いのではないでしょうか?
新規に借入しようとしても、コロナ禍が長引くにつれ融資審査も厳しくなっています。
資金繰りを改善して経営を改善させるには、これまでの経営を見直し、金融支援に加え経営改善することが必要です。
この記事では、補助金を活用して費用を抑えながら、金融支援・経営改善を実施する方法について解説します。
経営改善計画を策定することで経営改善に繋がる
経営を改善するにあたり、やるべきことはズバリ経営改善計画を策定することです。
経営改善計画を策定することで、自社の現状と課題、行動計画、具体的な数値目標が明らかになり、いわば目標に向かって歩むための地図・コンパスとして活用できます。
また、当該経営改善計画を金融機関と共有し双方向コミュニケーションを図ることで、条件変更や新規融資等の金融支援を受けることができ、資金繰りが安定します。経営改善計画がない場合は、金融機関として事業の成長性や合理性、実行可能性、返済可能性等を判断することができないため、経営改善計画策定は必須と言えます。
経営改善計画書を構成する要素
具体的に、経営改善計画書策定にあたり記載すべき事項については、中小企業庁が見解を出しています。
①経営改善計画策定支援における着眼点
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/saisei/download/05/03_keikaku.pdf
②経営改善計画書のサンプル【原則版】
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/saisei/download/05/02_sample_a.pdf
①経営改善計画策定支援における着眼点について
「経営改善計画策定支援における着眼点」は経営改善計画書策定にあたり、どのような項目が要り、当該項目について記述する際、どのような視点で考えれば良いかを与えてくれます。
項目は大きく、下記になります。
1.現状分析の着眼点
⇒過去から現在にかけて自社がどのような道筋をたどってきたか。
2.経営課題明確化の着眼点
⇒窮境要因は何か。その排除可能性はどうか。
3.課題解決策検討の着眼点
⇒(SWOT等の分析によって)何が自社の課題か。
4.アクションプラン策定の着眼点
⇒その課題を解決するために何をするのか(アクションプランは何か)。
5.数値計画策定の着眼点
⇒そのアクションプランを実行した場合、経営数字はどのように推移していくのか。
6.資金繰り検討の着眼点
⇒計画期間中、資金繰りは大丈夫か(現預金はどのように推移していくのか(月次ベースで良いと思います))。
7.金融支援内容検討の着眼点
⇒どのような金融支援を金融機関へ依頼するのか
②経営改善計画書のサンプル【原則版】について
また、「経営改善計画書のサンプル【原則版】」は、経営改善計画策定支援における着眼点で会社の課題や解決策等を検討した後、具体的にどのようなアウトプットが要るのかを示したサンプルです。
1.債務者概況表
⇒A4用紙1枚で現状や問題点、今後の改善策等をまとめた表になります。財務デューデリジェンスも行い、貸借対照表における数値を時価ベースで記載もします。
2.企業集団の状況
⇒業種や売上高、従業員数や設立年月日等、自社の会社概要や出資内訳、借入先内訳等を示した表です。
3.ビジネスモデル俯瞰図
⇒どこから何を仕入れて、自社でどのような工程を経て、誰に何を供給していて、協力先や競合はどこか、等を示した表です。
4.資金実績表
⇒資金繰りの実績及び今後の見通しを示した表です。
5.計数計画・具体的な施策
⇒売上、利益、減価償却費、簡易CF、金融機関借入残高、CF倍率(要償還債務残高÷簡易CF)、現預金残高、純資産等の推移を示した表です。
6.実施計画
⇒どのような改善策(アクションプラン)で改善していくのか、そしてそのアクションプランによりどの項目がどう変化していくか(例えば役員報酬を3年間9,600千円⇒8,400千円に減額する等)を示した表です。
7.計数計画
⇒損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書、金融機関別返済計画について過去から将来に向けてどのように推移するかを示した表です。
8.金融支援計画
⇒どのような金融支援を金融機関へ依頼するのか、またその際の各金融機関のシェアや残高を示した表です。
経営改善計画書策定は大変
このように、経営改善計画書の中身として、数値として表すものと、数値に表せないものどちらも求められます。無論、実現可能性が高く、かつ数値面で矛盾がない(損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書、金融機関別返済計画が連動)ように作成する必要があります。
そのため、策定にあたり必要な各種資料の準備、財務面、資金繰り面、事業面等の詳細な把握、事業計画の策定、金融面の支援計画の策定等が必要であり、経営改善計画書を策定をするにはかなりの労力と時間とノウハウを要するため、自社で全てできれば良いですが、そうでなければお近くの商工会や商工会議所、金融機関等、身近に相談できる相手と連携を取れるようにすることが重要です。
補助金を使った経営改善計画策定がオススメ
ここまで、経営改善計画書がなぜ必要か、またどのように策定すれば良いのかをお伝えしてきました。
前述の通り、経営改善計画策定の前提として、財務面、資金繰り面、事業面等の詳細な把握、事業計画の策定、金融面の支援計画の策定等が必要であり、多くのノウハウやエネルギーを要します。
そのため、本業で忙しい中、多くの中小企業は手が回っていないのが実情です。
ではどうすれば良いのかといえば、餅は餅屋、専門家を頼るのが1番だと思います。
当然専門家を活用する以上、お金は要りますが、その費用の2/3を補助金として国が負担してくれる制度があります。
例えば計画策定費用が60万円だとすると、自社の負担が1/3の20万で済むという制度です。
これを経営改善計画策定支援事業(通称:405事業)といいます。
本事業は、金融支援を伴う本格的な経営改善の取組が必要な中小企業・小規模事業者を対象として、認定経営革新等支援機関が経営改善計画の策定を支援し、経営改善の取組みを促すものです。中小企業・小規模事業者が認定経営革新等支援機関に対し負担する経営改善計画策定支援に必要となる費用の2/3を中小企業活性化協議会が負担します。
つまり、本補助金制度を活用することで、経営改善計画策定に係る専門家費用を抑えることが可能となります。
下記中小企業庁のURLから、認定支援機関の検索ができます。
https://ninteishien.force.com/NSK_CertificationArea
まずはお近く・お知り合いの認定支援機関に相談されることをおすすめします。私自身も認定支援機関として、事業者様の支援をしております。早め早めの対応が、事業改善へと導きます。1人で抱え込まず、少しでもお悩みであれば、ぜひお気軽にご相談ください。